特集 2023年7月10日

湊川市場のおいしいものだけを集めた店、「湊川大食堂」がすごく良かった

あなごの蒲焼きとぼっかけ焼きそばがおいしかったです。

地方の市場や商店街を見て回るのが好きだけど、おいしそうなものを見つけても、宿にキッチンでもない限り、残念ながら旅先で食べるというのは難しい。持って帰るにしても、旅の日程と荷物の量次第。

この商店街で売っているうまいものを集めた狭い範囲のアンテナショップみたいな飲食店があればいいのになと思っていたら、まさにそういう店が神戸にあったのだ。

趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

前の記事:大阪で冷やしあめを巡りながらの街歩き

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湊川市場をまるごと楽しめる居酒屋があった

神戸にある湊川市場をご存知だろうか。公式サイトによると、2つの市場と3つの商店街が繋がり、約400店のお店が並ぶ神戸最大規模の市場として賑わっている、神戸の台所とも呼ばれる場所だ。

そんな巨大な市場の中から、おいしい料理や食材を吟味して集めた居酒屋が「湊川大食堂」なのである。最高のコンセプトじゃないか。

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湊川大食堂は湊川商店街入口のパークタウンという建物内にある。
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湊川市場をぶらついていたら食べてみたいものがたくさんあったので、湊川大食堂の存在はとても嬉しい。
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昼間は定食屋、夜は居酒屋として営業しているようだ。
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ズラッと商店の名前が並ぶ頼もしい限りの暖簾。
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同行はライターのスズキナオさんと、シカクというミニコミショップのたけしげみゆきさん。こちらの記事で冷やしあめを飲んだ帰りにナオさんが教えてくれた店。

とりあえず乾杯

まずはドリンクメニューを確認すると、田又果物店さんの旬果実生絞りサワーにくわの園さんのお茶ハイ、さらにはおばあちゃんの作った昔ながらのおいしい梅酒など、魅力的なものがズラリ。

日本酒のメニューにはどんな特徴でどんな料理と合うかを一言添えるというポスピタリティ。素晴らしい。

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これは迷う。
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説明を添えてくれているのがうれしいんですよ。
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お二人はくわの園さんの煎茶ハイを注文。ここにくる前の店でちょっと飲み過ぎたので、一旦ノンアルで失礼します。にしてもくわの園さんから選べよと過去の自分に一言申したい。

まさに市場の良いとこ取りなお品書き

乾杯をしたところで料理のメニューをじっくりと眺める。一番好きな時間かもしれない。まずは前菜的なものを選ぼうか。

もし自分だったら何を選ぶか、考えながらお読みください。

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どの料理も仕入れ先が書いてある。
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こういうちょっとしたお惣菜もうれしい。
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一人一品ずつ選んだ結果、原商店さんの冷奴、三代目堀江さんの漬物盛り合わせ、お惣菜のひじき煮となった。

あなごの蒲焼きが素晴らしかった

二軒目とはいえツマミがヘルシーすぎるので、魚も少し頼みましょうかと再びメニューを眺める。

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刺身セットがすごくお得なことに、今になって気が付いた。
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たけしげさんが炙りトロしめ鯖を注文。サバのうまさはもちろんだが、ガリを添えていることに感心する。ただ食材を集めてきただけではないのだ。
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ちょっと高いかなと思ったが、活あなご あら井さんの淡路伝助あなごの蒲焼きを思い切って注文。これがふわふわで最高だった。なかなか活あなご屋にはいけないので、こういう機会でもなければこのクオリティを知ることはなかっただろう。
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懐かしのみかん水アップルという飲み物。みかん味なのかりんご味なのかは飲んで確認しよう。
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貝出汁のおでんも魅力的だ

このあたりで貝出汁と書かれたおでんが気になってきた。なんの貝なのだろう。

店員さんに「おでんは貝出汁なんですか」と聞いたら、なぜかキョトンとされた。

あとから大阪出身のたけしげさんに、「玉置さんのイントネーションだと『買い出し』やから」と笑われた。湊川市場から集めたタネだから、買い出しでも間違いではないけど会話になっていない。

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豆腐屋さんとかまぼこ屋さんのおでんダネが並んでいる。これもまた迷う。
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この日は五月末。季節のネタもばっちりだ。
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季節野菜のたけの子、大貴かまぼこさんの生姜天と鱧ちくわ。おでんだけでも幸せになれる。
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シャリキンレモンハイサワー。さっき鼻知場商店で飲んだレモンの大人版だ。

なんとメニューはまだまだある

そろそろメイン的なものを頼みましょうかと、メニューの裏側と壁を眺める。これもまた悩ましい。

さすが大食堂を名乗るだけあって、魅力的なラインナップが私の胃袋に有り余る。

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ここはわんぱくに注文しちゃおうかな。
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製麺マルヤスさんのぼっかけ焼きそば。ぼっかけは神戸市で考案された、牛筋と蒟蒻を甘辛く煮込んだものらしい。そこに製麺所の太麺が加わるという贅沢。
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この味が染みた蒟蒻がうまいんだ。
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まるよしさんの牛ホルモンの鉄板焼きも頼んでしまおう。味が濃いメニューを続けてしまったが後悔なし。
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そこから三代目堀江さんの厳選お味噌を使った出汁の効いた味噌汁、福井商店さんのキムチ盛り合わせ、原商店さんのパクチーよだれ冷奴で締める。
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しいたけ酎ハイって初めて飲むな。

いやー、よかった。市場内からうまいものを集めてしまうというシンプルな発想だが、ここで味を知ったことで、活あなごの店に行ってみたくなったし、キムチや漬物を買って帰りたくなった。ぼっかけという食べ物を知ることもできた。まさに湊川のアンテナショップ。ここが我が家から一時間以内だったらよかったのに。

どれをメニューに載せるべきか、どの店の商品を扱うかなど、運営する上での難しさはいろいろあると思うが、こういう店が各地の商店街にできてくれるといいなと思った。

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また明日!

■湊川大食堂のサイトInstagramFacebook

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